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『マイルス・デイヴィス ビッチェズ・ブリュー』
ジョージ・グレラ・ジュニア/著
川嶋文丸/訳

革新的な名盤の成立過程、セッションの状況、楽曲の詳細を検証。
発売当時、賛否両論を巻き起こした、世紀の問題作の謎を解明する。

1970年にリリースされた『ビッチェズ・ブリュー』は、ジャズとロックの歴史におけるもっとも驚嘆すべきアルバムとして、いまもなお輝きを放っている。マイルスはその2つの領域を融合し、完全に革新的で無限に自由な音楽を作り出した。西洋音楽のきわめて先鋭的な側面と深遠なグルーヴが結びついたこのアルバムは、ジャズとロックの両方に「ノー」を突きつけ、音楽の創造に関するまったく新しいコンセプトを提示した。

1969年、クールの帝王マイルス・デイヴィスは、若手ミュージシャンの躍進によって時代に取り残されそうになっていた。だが彼は何人かの重要な新鋭ミュージシャンを手中に収めていた。アメリカそのものがあちこちで破綻しかかっており、ロック・ミュージックはあらゆる方面に拡散していた。独特のグルーヴと雰囲気に包まれた『イン・ア・サイレント・ウェイ』を吹き込んだあと、のちに“ロスト・クインテット"と呼ばれる、ウェイン・ショーター、チック・コリア、デイヴ・ホランド、ジャック・ディジョネットからなる熱気に満ちた新しいバンドを率いてツアーを終えたマイルスは、これらのメンバーとともに、恐るべき才能をもつギタリスト、ジョン・マクラフリンや、オーストリア出身のソウルフルなキーボード奏者ジョー・ザヴィヌルなどを引き連れてスタジオに入った。必要不可欠のプロデューサー、テオ・マセロが見守るなか、テープが回され、マイルスはアイデアの水門を開け放った。そこには再成形された闇の魔王がいた。まったく新しい方法でジャズとロックに取り組んだ彼は、いつまでも生命力と奥深さを失わない『ビッチェズ・ブリュー』を生み出した。

【著者について】
ジョージ・グレラ・ジュニア(George Grella Jr.)
ニューヨークのブルックリンに在住するミュージシャン、作曲家、評論家。サックス奏者としてCBGBやニッティング・ファクトリーなどに出演するいっぽう、ジャズ、現代音楽、エレクトロニクス音楽関連の作品を作曲している。評論家としては長年にわたって音楽や文化に関する論文を発表してきた。現在はブルックリン・レイル誌で音楽欄の編集に携わるかたわら、The Big Cityというサイトを運営し、各種の音楽雑誌に寄稿している。

【翻訳】
川嶋文丸(かわしま・ふみまる)
1947年生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。レコード会社BMGに勤務し、ジャズの制作など洋楽の仕事に携わる。RCAアリオラ・ジャパン社長を務めた後独立し、レコード・レーベル 「カプリネット」を設立、CDの企画制作、執筆・翻訳活動に従事する。訳書に『クリフォード・ブラウン~天才トランペッターの生涯』(ニック・カタラーノ著)、『ジョン・コルトレーン~私は聖者になりたい』(ベン・ラトリフ著)、『マイルス・デイヴィス「カインド・オブ・ブルー」創作術』、『ジョン・コルトレーン「至上の愛」の真実』(共にアシュリー・カーン著)、『ハービー・ハンコック自伝~新しいジャズの可能性を追う旅』(ハービー・ハンコック著)などがある。

2016年12月発売

定価1800円+税
四六判並製/モノクロ/218ページ
ISBN978-4-905158-38-7